嘘をつくと右上を見るは勘違い?表情分析家が教える嘘の見抜き方

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嘘をつくと右上を見るは勘違い?表情分析家が教える嘘の見抜き方

Ryotaです。

嘘を見抜く方法として、色々なことが言われています。

例えば、

・嘘をついているときは目が泳ぐ

・嘘をついている人は右上を見る

などです。

あなたも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。この記事では、表情分析家である私が本当の嘘の見抜き方を紹介していきます。

嘘の確実な証拠は存在しない

相手の目が泳いでいたり、右上を見たりした時に、「あ、嘘ついた!」と思った経験のある人もいると思います。

しかし、これは実は正しくありません。
なぜ正しくないのか説明しましょう。

心理学で嘘を見抜く分野は「虚偽検出」というカテゴリーで研究されています。
虚偽検出は学問的には新しい分野です。とはいえ、犯罪捜査などでの有用性が高くその関心は強いものです。実際、毎年150を超える論文が出されています。

2000年にアルダート・ヴレイ教授は、それまでの嘘の心理学の研究成果をまとめました。著書の名は「Detecting lies and deceit」で、日本語にも邦訳されており(嘘と欺瞞の心理学)虚偽検出の分野で最大の情報量を持つ書物となっています。

この書籍は定価9000円と高いですが、虚偽検出の分野の専門家になろうと考えている人は最初に手に取るべき良書です。それほど嘘に関係する情報の量・質ともに充実しています。

なぜ私がこの大著の話をするかというと、この本の中でヴレイが虚偽検出ができるかという疑問に答えているからです。ヴレイが到達した結論は以下のものです。

一つのサインから嘘を見抜くことはできない。

彼が言うように私たちには、ピノキオの鼻のように嘘をついた証拠となるサインはないのです。つまり、ある特定の仕草や行動から嘘をついたと確証を得ることはできないと言うことです。

このことを踏まえると、

・目が泳ぐ=嘘
・右上を見る=嘘

とはもちろん言えないということです。

嘘つきは右上を見るとは限らない

では、なぜ私たちは嘘をつく人は「目が泳ぐ」や「右上を見る」と思ってしまうのでしょうか?これには以下の理由があります。

・嘘のサインを学んできた
・NLPが日本に入ってきた

この2点について説明しましょう。

嘘のサインを学んできた

私たちは生きてきた過程で、嘘をつく人は「目が泳ぐ」や「右上を見る」ということについて学んできました。

それは親や先生から教えられたのかもしれませんし、テレビで見たのかもしれません。あるいは実際に嘘をついている人がそのようなサインを出していたのかもしれません。

どこから学んだのかはともかく、私たちは生きてきた過程で学んできたのです。
だから、嘘の証拠を知っている気になっています。

実際、世界中を対象にした統計において、国や民族に関わらずかなりの数の人が「目が泳ぐ=嘘」と信じているという結果が出ています。しかし、科学者が目が泳ぐことと嘘の関係を調査したところ何の関係もありませんでした。

NLPが日本に入ってきた

NLPとは心理学の派生分野です。特に催眠の大家「ミルトン・エリクソン」の心理学をベースに研究された分野で、創始者はジョン・グリンダーとリチャード・バンドラーです。

例えば、私が過去記事で紹介したリフレーミング(解釈を変える技術)はまさにこのNLPの手法です。他にもアソシエイトやディソシエイト、モーダーチャンネルの変換など様々な技術があります。

リフレーミングについては↓

www.virtual-psychology.net

このNLPの考え方の一つに、
アイアクセシングキューという考え方があります。

アイアクセシングキューとは目の動きと私たちの思考には関連があるという考え方です。この中で、「記憶を辿る時は左上を見る」「創造をする時は右上を見る」ということが決まっています。

NLPの視点から見ると、相手が質問されて記憶を引き出さなければいけない時に右上を見ているなら嘘をついている!となるのです。なぜなら、NLPでは記憶を引っ張り出す時、左上を見ると考えられているからです。

この考え方が浸透し、「右上を見る=嘘」と私たちが考えてしまう理由です。
しかし、イギリスのメンタリストのダレン・ブラウンが言うように、このアイアクセシングキューを盲信することは馬鹿げています。アイアクセシングキューはあくまで統計であり、目の前の相手に当てはまるとは限りません。

 嘘を正確に見抜く唯一の方法

嘘を見抜く正確なサインは存在しない。このことを知ったあなたは「じゃあ、嘘を見抜く方法はないの?」と思われるでしょう。

しかし、実は一つだけ嘘を見抜く方法があります。それは、嘘のサインを組み合わせることです。

前章までで嘘の正確なサインはないと言いましたが、
嘘と相関関係があるものはいくつか見つかっています。

例えば、以下のものがあります。

・緊張が見られる
・自律神経反応が出る
・声が高くなる
・身体の動きが増える、または減少する

などです。細かく見るともっとたくさんありますが、ポイントになるのは嘘をつく時は認知的負荷がかかるということです。

認知的負荷とは、嘘をつくことによるストレスのことです。私たちは嘘をついている時プレッシャーを感じます。「嘘を隠さなくては」と思うからです。

そのため、自分でコントロールしにくい自律神経信号(汗をかいたり、脈拍・呼吸が速くなるなど)から嘘が漏洩してしまいます。このようなサインを複数集めていくのです。3〜4つのサインが見られたら8割ぐらいの確率で嘘をついていると言えます。

このように複数の嘘のサインから総合して判断することで、かなり正確に相手に見破ることができます。

見抜かない方がいい嘘もある

人は社会的動物です。
相手のことを気遣うが故につく嘘もたくさんあります。

例えば、「今日の髪型似合ってる?」と聞かれて、「似合っていない」と答えると相手は傷つきます。だから私たちは似合っていないと思っても「似合ってるよ」と嘘をつきます。

このように必要な生きていく上で必要な嘘もあります。見破ると相手を傷つけてしまう嘘もあります。

表情分析や虚偽検出を学ぶことは非常に有用ですが、
ぜひこのあたりの倫理的なことも考慮して学んでください。

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