人の心理には絶対に逃れられない自動反応というものが存在する。いくつか見つかっているのだが、今回は「希少性」と呼ばれる原理について話そうと思う。

希少性とは

希少性という心理学用語がある。意味は漢字そのままだが、人は希少なものに価値を感じるというバイアス。バイアスとは心の偏りのことである。

私たちは珍しいものが好きだ。あるいは数が少なく限定品だといわれるとつい買いたくなってしまう。これは希少性の原理が働くからだ。例えば、年末の福袋。よく「◯個限定!」なんて表示されているがこれは稀少性の原理を狙っている。

希少性は誰もが知るあたりまえの原理。けれど、だからこそ意外とその重要性に誰も気づかない。世の中には限定品、珍しいものと言われるとすぐ飛びつく人がいる。この人たちはみんな希少性の餌食になっている人たちだ。

稀少性の原理を考える上で大切なことは、この原理が自動反応であるということだ。自動反応である以上、希少性の原理があるということを知っていなければ私たちは珍しいものに自動的に飛びついてしまう。珍しいものだからと飛びついてしまって痛い目に会うことさえあるかもしれない。

だから、このような原理が私たちに働くのだということをしっかり認識しておく必要がある。

希少性の原理が働いた例

アメリカのとある宝石店で、どうしてもターコイズを売りたい店長がいた。その店ではなぜかターコイズだけが売れず残っていた。そこで店長は従業員に「2分の1の値段でもいいから売ってくれ。」と書き残して店を出て行った。

店長が帰ってくると、ターコイズはすべて売れていた。もちろん値段を半額にしたのだから、売れていても不思議は無い。しかし、実は従業員は2分の1と読み間違えてそのターコイズを全て2倍の値段を付けて売ってしまっていた。これは聞いた店長は当然驚いた。半額どころか2倍にしてターコイズを売ってしまったのだから。それにも関わらず何故か全てのターコイズは売り切れた。

これは稀少性の原理を説明するのにわかりやすい例だ。ターコイズの値段が2倍になったことで客はどう思ったか?そのターコイズは価値があるものだと認識したのだ。私たちは基本的に「値段の高さ=価値あるもの」という認識を持っている。これが稀少性の原理だ。

だから、値段が上がったターコイズに客たちは魅力を感じたのだ。とはいえ、べらぼうに高ければ良いというものでもない。ターコイズを2番の2倍の値段で売ったのは客にとって信憑性のある値段の高さだった。そのため、全てのターコイズが売れたと推測される。

希少性の原理に惑わされない

希少性の原理に惑わされないためには、稀少性の原理があるということを知っておくことが重要である。私たちはともすれば珍しいものなら何でも飛びついてしまう。そういう性質を持った生き物だということを理解しておくと惑わされずにすむ。

珍しいモノを目の前にしてほしくなったとき、「これは稀少性の原理が働いているのではないか?」と一度疑うことのできる冷静な目を持つ。そうすれば稀少性の原理に乗せられて、まんまとモノを買わされることはないだろう。

このことは他の心理バイアスにも言えることだが、私たちは心の偏りを持っている。そういう認識で過ごしていればそう簡単にバイアスに左右されることがない。明日から日常に潜む稀少性の原理を探しながら生活してみてほしい。